写真 :Getty Images

トッテナムを初のCL決勝へと導いたポチェッティーノの戦略

野戦病院化した中、主力不在をカバーリングできたチーム戦術

満身創痍のシーズン終盤過ごしてきたトッテナム。

もちろんチャンピオンズリーグだけでなく、プレミアリーグにおいても苦戦を強いられてきたことは紛れもない事実である。

4月に入ってからこの試合まで、トッテナムは「10試合中4勝6敗」と珍しく負け越していた。

更に直近公式戦は「3連敗かつ無得点」と重病にかかった状態でアヤックス戦に臨むことになった。

主な理由は「主力の負傷」「今シーズン補強しなかったこと」だ。

ハリー・ケイン、ハリー・ウィンクスなどトッテナムのキーマンになる主力メンバーが負傷により不在、更には新戦力がいない中でのローテーションは現有戦力への疲労としてのしかかるようになりチーム全体に不穏な空気が流れつつあった。

しかしポチェッティーノはこの試合に勝機があると誰よりも確信していた。

後半開始に際し、中盤のワニアマを下げ長身FWジョレンテと投入。

「パスでつなぐ」前半の戦術から、「ロングボールでジョレンテを起点にする」戦術にガラリとシフトさせた。

ジョレンテを起点にボールを展開し、彼を中心に衛星的に動き回るルーカス・モウラやアリにチャンスメイクさせることで、徐々にアヤックスのディフェンスラインを混乱させていった。

勝利を呼び込んだ3点目は上記に挙げた3選手が見事にボールをつないでゴールまで運んだ。現有戦力で最大値を算出するポチェッティーノの奇策を伺える一例だ。

この試合だけでなく、ラウンド8ととなるマンチェスター・シティ戦でも似たケースがあり、2ndレグの前半シソコが負傷交代することになったが、ポチェッティーノはシソコと同じ中盤の選手を起用せず、ジョレンテを投入して選手配置や動き出しなどの微調整をし現地メディアを驚かせた。

こうした「勝利にこだわる姿勢」が今回の大逆転劇を繰り広げた所以になっている。

ちなみにジョレンテはこの試合の後半だけで「17回の空中戦の内13回」に勝利している。

後半何度もジョレンテとアヤックスDFのブリントが競り合うシーンが多く、195cmのジョレンテvs180cmのブリントではジョレンテに分がある格好となった。

アヤックスは空中戦には弱いブリントを狙われたことが後半後手に回った大きな要因になっている。

その証拠にブリントは後半6度もあった空中戦にすべて競り負けたというデータが記録されてしまった。

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